それにしてもインターネットでは色々な『グリーンレーザーポインター』が出てきていますね・・・。
買う方にとっては選択肢が多くなるのは嬉しい事ですが、 選び方がわからないと迷いの種になり、逆に困ってしまってはいませんか?
ここでは良いグリーンレーザーポインターと悪いグリーンレーザーポインターの差を、仕様値毎に具体的に細かく説明していきます。
※長文になりますので、読む人は少しだけ覚悟をして下さい
※時間が無い人は、一番下の"結論"だけでも読んで下さい
1)波長
グリーンレーザーポインターですから、勿論グリーンの波長が出てきます。一般的には赤外線の波長をYAGの結晶で1,064nmに変換したものを、倍波をとって『532nm』のグリーンの波長に変換する形式がオーソドックスで、市販品にはこれ以外無いと言って良いでしょう。
しかし正確に言うと532nm以外の波長も含まれている筈であり、出てきているレーザー光は幾らかの波長幅があります。
この波長幅の定義はレーザーポインタと言う一般用途ではされて無いのが普通であり、この『532nm』と言うのは細かく言うと『中心波長』になります。
あまりにも安いグリーンレーザーポインターは注意が必要です。コストカットの為、IR(赤外線)フィルターを非搭載の商品があるからです。
532nmに変換される前のYAGの基本波である赤外の1,064nmのレーザー光は、グリーンの波長に100%変換される訳では無く、IR(赤外線)フィルターが無ければ、構造上その赤外のレーザー光も同軸上から出てきてしまいます。
赤外のレーザー光は人間の目では感知が出来ないだけでなく、波長が長いので目蓋を閉じても網膜にまで達してしまう事があり危険です。
基本的にはこの『波長』で差があるレーザーポインターは無い筈ですが、IRフィルターが搭載されているかどうかと言うのは仕様値として記載されている商品を見た事はありませんが、出来るなら確認をした方が良いのかもしれません。
———————————————————————————————–
2)出力
レーザーポインターの出力に関しては、『最大出力1mW』、『出力1mW以下』、『出力1mW』、または単に『クラスⅡ』などの様々な記載方法があります。しかし惑わされないで下さい!
結局は全て同じ意味になりますので。
自己ませんか
なぜならば法律上、レーザーポインターはレーザーに関する『JIS基準のクラスⅡ』に準じなければならないからです。
JISのクラスⅡの基準からレーザーポインターの仕様を考慮すると、それは単純に言うと、『1mWを超えてはならない』と言う意味合いとなります。
法律を遵守した安全なレーザーポインターで1mWを超えてはいけないので、基本的にここで差別化はありえません。
高い出力は人間の目に障害を与える危険性がある為、経済産業省の方では消安法によりクラスⅡに準拠しなければならないと厳しく管理しているのです。
ここで注意!
レーザーポインターを買う時によくあるトラブルなのですが、基本的に定義されているのは『最大出力』だけなのです。
では『最低出力』はどうなのでしょうか??
『最低出力の定義』が無ければ、購入者はそのレーザーポインターの出力が0.0000000001mWしかなくても、本当はその購入品に関して文句は言えないのです。
人間の目への危険性を考慮して1mWを超えないのは仕方が無いとしても、あまりにも出力が低ければ『ポインターとして使い物にならない』事になってしまいますよね?
使用する電池の性能やコンディションによるところが大きいのですが、実使用としては0.3mW以上あれば問題無いと思われます。
———————————————————————————————–
3)到達距離
これは面白い事に各社バラバラで、『一番の曲者の仕様値』です。基本的に到達距離は波長と出力によって決まります。
グリーンレーザーと言う同じ波長であれば、基本的には出力が同じであれば到達距離は変わらないのです。
それなのに面白い(迷惑な)もので、短いところでは50m、最大では1,000mと謳っている販売元もあり、何と、その差は実に20倍です!
ある日、某量販店で店員に尋ねた所、「このタイプは、こちらよりも4倍見易いですよ。」と言われたので、「何が違うのですか?」と尋ねてみました。
すると、「ほら、こちらのは到達距離200mと書いてありますが、こちらのは50mだけなので、4倍見易いのです。」と説明されてしまいました・・・。
この『到達距離』と言うのは、明確な基準が無い為、『言った者勝ち』と言うのが現状です!
どんな環境下で、どんな対象物に対し、どんな風に見えなければならないかと言う基準が無いので、「やった!到達したっ!!!」と言い切ってしまえば良い訳です。
その為、これは『目安』とだけ考え、各社の仕様値を取り揃えて比較しても、結局は時間の無駄と言わざるを得ません。
一人で過ごす時間を増やす方法の関係はもみ消す
実際の目安として、普通のグリーンレーザーポインターであれば真っ暗闇な暗室では100-200mは余裕で届きます。
周囲の明暗の環境以外で差が出るのは、当てる対象物次第ですね。
勿論、見る人の目の性能によっても異なると言う事実もお忘れなく。
———————————————————————————————–
4)ビーム径
これも各社まちまちです。ビーム径は小さければその分、単位面積辺りは明るくなります。
しかし、あまりにも小さ過ぎると、大きさとしてちょっと見辛くい事ってありませんか?
・・・かと言って大き過ぎると、単位面積辺りがその分暗くなるので、高輝度のプロジェクター相手だと見辛くなってしまう場合がありえます。
また、ここで忘れてはいけないのがレーザーポインターの光は絶対的に真っ直ぐな平行光では無く、幾らかの『ビーム拡がり角』があると言う事です。
それ故、3mの位置と10mの位置ではビーム径が異なるのが当たり前って事実、知っていましたか?
レーザーは普通の光と異なり拡がり辛いのですが、拡がらない事は無いと言う事は知っておいてください。
使い勝手や好き好きにもよるのですが、3mの距離で5mmほどのビーム径が適当なところでは無いでしょうか?
———————————————————————————————–
5)電池寿命
基本的に使用する電池のタイプにより大きく異なります!長さなどのサイズを優先し過ぎて、電池寿命をあまり考慮していない商品も見かけられますが、いずれにせよ一般的には単5電池タイプでは2時間、単4電池タイプでは4時間程と言うのが目安では無いでしょうか?
しかしながらここでも、明確な基準が無い為、「まだまだ点いているっ!!」と言い切ってしまえば、実際に目では見えなくても記載上の電池寿命は延びてしまうのです。
グリーンレーザーポインターが高くなる大原因は、波長変換に使用している光学結晶、クリスタルの個体差の大きなバラツキです。
同じ電気回路などの同じ設計であっても、その結晶の個体差により消費電流が大きくバラツいてしまうので、例えば電池寿命が1時間のものもあれば、4時間のものもあってしまうのです。
どうしても設計だけでは十分に抑えが効かないのが現状の為、実際は各社、検査などで選別(スクリーニング)しているのが現状です。
あなたは晴れた日に退屈しているときに何を行うには
逆に、安価さを追求すれば選別をしなければ良い訳で、歩留まりも高くなりますし、人件費などのコストも抑えられるのでかなり安いコストになります。
(その代わり、開けてビックリと言う可能性は否めませんのでご注意を。)
選別を厳しくすればするほど歩留まりが悪くなるので、キチンと選別に手間とコストをかけているところの商品は、現状のグリーンレーザーポインターの構造や性質を考えると高くなってしまうのは仕方が無いのかもしれません。
———————————————————————————————–
6)環境温度
グリーンレーザーポインターの波長変換ユニットは、正直、温度変化にとても弱いのです!!上述の様に使用する結晶の個体差は大きく、どの結晶でも正常に動作する最適な温度範囲は25℃±数度だけと言う極めて狭い範囲です。
「それじゃあ、実使用上困るじゃないかぁっ!!」と言われるのはもっともです。
そこで各社、温度検査を行い選別をしているのです。
ここでも歩留まりが発生するのですが、この様な選別をしなければ、必要が無ければ、グリーンレーザーポインターは本当にグーーーーンッとお安くなるのです。
レーザーポインターはペンタイプなどが好まれる為、小さくしなければなりません。
小さくする為には、中々その様な工夫を搭載する余地がありません。また、中では赤外などの熱が出易い波長が発生する為、小さなスペースでは熱がこもり易く、安定させる為には放熱が大きな課題となります。
因みに産業用のグリーンレーザー光源は、温度をコントロールする為に、"ひだひだ"で表面積を広げて放熱し易くする『ヒートシンク』や、『ペルチェ素子』を使用したクーラーが搭載されているのです。
———————————————————————————————–
7)出力安定性
各社で設計が異なるので、出力安定性の実力値は、本当に大きく分かれる所です!しかしながらレーザーポインターで、出力安定性に関してハッキリとした仕様を謳っているところを見た事は無いですよね?
この『出力安定性』は、 チラツキによる『目の疲れ』だとか精神的な『いらつき』、『実際の電池寿命』に大きく関わってきます!
レッドレーザーポインターと異なり、グリーンレーザーポインターはそのままだと出力が暴れてしまうものです。そこで出力を安定させる為には、実際の出力をモニタリングしフィードバックをするシステムが構造的に必須となります。
(粗悪品では、このフィードバックシステムがありません。)
このフィードバックの際に余分に電気を消費してしまうので、キチンとフィードバックをすると、実は『電池寿命が短くなる』傾向があります。
上の2つの図の上の方を見て、『電池寿命をどこで定義すべき』か想像出来ますか?
出力が0になるまでを定義としてしまったら、0にはならないけれど出力が極めて少ない付近で数時間動作してしまうと、 実際上は全く使えないけれど電池寿命は妙に長くなってしまう訳です。
また例えば図の半分以下の出力で見えなくなるとしたら、緑の線の方が紫よりも1.5倍以上の電池寿命があると言えませんか?
そう考えると、キチンとスペックされてないけれども、電池寿命などとも繋がりがあるので、かなり重要な仕様と言えると思われます。
———————————————————————————————–
———————————————————————————————–
< < 結 論 > >
「良いグリーンレーザーポインターと悪いグリーンレーザーポインターの差」 について、色々とわかってもらえたかと思います。グリーンレーザーポインターは波長変換に使用する結晶の個体差を、検査で選別するかしないかによって、信頼度とコストが大きく変わってきます。
また出力を安定させる為のフィードバックシステムの違いで、実使用上かなり差が出てきます。
しかしながら、謳っている仕様さえも当てにならず、元々そこまで細かく仕様値としては各社謳ってない為・・・・。
・・・。
良いグリーンレーザーポインターを買うにはどうしたら良いのでしょうか?
結局は『安心できる所で買う』か『安心できるブランドを買う』、と言うのが、唯一損をしない購入方法と言えるかと思います。
・・・と言うか、「・・・としか言えない」と言うのが真実なのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿